潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は主として大腸の粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のび漫性炎症です。
症状は、繰り返す下痢、粘液便、粘血便、腹痛、発熱、体重減少などがあります。
原因は不明ですが、大腸粘膜に対する免疫機能の異常が最も有力視されています。
潰瘍性大腸炎の患者数は年々増加傾向にあります。 発症年齢は20歳から50歳ごろまでに多く見られます。
診断
慢性の粘血便、血便などがある時,そのほかの病気が除外できなければ、大腸内視鏡検査を行い病変の性状、範囲、組織検査などで診断基準に照らし合わせて、診断を行います。
治療
潰瘍性大腸炎の治療は症状が軽い軽症の場合は、整腸剤や大腸の炎症を抑えるサラゾスルファピリジン(SASP)などの経口内服薬を用いたり、大腸の炎症が直腸などに限局している場合には、SASPあるいはステロイドの注腸、そして座薬などが用いられます。
症状が中等症であったり、軽症でも治療に反応が悪い場合には、SASPでの治療に加えてプレドニゾロン30-40mgの経口投与を行います。プレドニゾロンは症状が寛解状態となったら、漸減していきます。
プレドニゾロンの投与にもかかわらず症状の改善がみられない難治症例に関しては、その病態に応じて、免疫抑制剤(イムラン、ロイケリン)などの併用(ステロイドを減量することができない場合)、あるいは血球成分除去療法、免疫抑制剤、生物学的製剤(TNFα阻害剤)などを併用する(ステロイドで効果がみられない場合)などによる治療が行われます。
潰瘍性大腸炎の重症例の場合は、薬による治療でなく手術が必要となる場合もあります。
日常生活で注意すること
潰瘍性大腸炎は慢性に経過する疾患ですので、日常生活の注意が必要です。
全般的には規則正しい生活、睡眠をしっかり取り、疲れを残さないような注意が必要です。
食生活ではとくに注意が必要です。
症状が強いときはもちろん、比較的症状が落ち着いている寛解期にも注意しておいたほうがよいでしょう。
具体的には、
種類 | 注意する点 |
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アルコール・炭酸飲料 | 避けるほうが良いでしょう。 |
乳製品 | 日本人には乳糖不耐症の人が比較的多くみられるので、少なくとも症状が強いときは、避けたほうがよいでしょう。取るとしたらヨーグルトなどにしましょう。 |
辛いもの | 刺激しますのでトウガラシなどは避けたほうがよいでしょう。 |
食物繊維 | 線維が多く消化に悪いものは避けるほうがよいでしょう。 |
脂肪 | 魚に含まれるドコサヘキサエン酸などのオメガ3脂肪酸(αリノール酸)は、潰瘍性大腸炎の発症の危険性を減少させることが知られています。しかし、食用油、赤身肉、マーガリンなどに含まれる多価不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸(リノール酸)は、体の中で分解されると、アラキドン酸となりさらに炎症を引き起こす化学物質(プロスタグランジン、ロイコトルエン)へと変化し、潰瘍性大腸炎の発症の危険性を高めることが確かめられています。そのほかこのリノール酸は様々な健康被害をもたらすことがしられています。 |